生きていく上で大事なモノは何でしょうか。 人それぞれの考え方によりますが、家族であったり、愛する人であったり、 或いは何か形のある物だったりするでしょう。 そして、その中には恐らく「お金」もランクインするのではないでしょうか。 では、生きていく為のお金を入手するにはどのような手段が考えられるでしょうか。 働いたり、借りたり、或いはやむにやまれず非合法なことをしちゃったりする人もいるかとは思いますが、 一般的には労働の対価として賃金を得る人が多いかと思います。 | |||
僕は7月に会社を退職した。 その会社は7月にボーナス支給日があり、給与規則(就業規則)上は「退職者には賞与を支給しない」旨の規定は 無かったので、退職する僕にも支給されるものと思っていた。 ボーナスが人類にとってどれほど大事なものであるかは言うまでもない。 支給日を何日か過ぎたある日、僕は通帳記入をして残高を確認してがっくり肩を落としたのだった。 ・・・ボーナスが振り込まれてねえ!! どーいうことデスカ? 事前に会社からは社員宛に「7月×日に賞与を振り込む」旨の通知が来ていたし、 同僚に聞いてもみんな振り込まれているようだった。 いろいろ聞きまわっているうちにわかったことは、「7月で退職する社員には賞与が支払われてないらしい」ということ。 先程も述べたように会社の給与規定には、「退職者には賞与を支給しない」旨の規定は無かったので、 僕は当面の生活費の足しとして当てにしていたのに〜。 それが何の予兆もなく0円。ひでえ。 これが次の職が決まっている人や、日頃の貯えがたっぷりの人であればヘタに会社とモメるのは良くないと考えるかもしれない。 しかし今の僕は次の転職先もまだ決まっておらず(じゃあ辞めなきゃいいじゃんという突っ込みはさておいて)、 しばらくはショボい貯蓄で食い繋いでいかねばならないのでたとえ守銭奴(金銭を貯めることに異常な執着をもつ人のことでス。)と言われようが何とかしたいと考えた。 | |||
7月某日。 退職まであと数日というところで、残りの出社日を有給休暇の消化にあてていた僕は上司に この件について問い合わせるために会社に行くことにした。 電話でも良かったのだけれど、直接会ってじっくり話を聞きたかったので会社のある渋谷へ。
わかってんじゃん。 賞与というのは、簡単に言うと「今までよく頑張ってくれました料+これからも頑張ってね料」みたいなものなので、 僕も当初から「退職する=これから先に期待できる労働力ではない」分は減額されて支給されると思っていたのだ。 それが0円だったってことは「今までの頑張り=ゼロ」という評価と受け取れないこともない。 僕は今季、入社してからの3年間で一番いい仕事をしたと自信を持っていたからこそ今回の不払いに憤慨しているわけだ。
部長より上の層の人間に普段お目にかかれることは滅多に無い為、これ以上の追求は難しいか・・・。 そこで僕は労働基準監督署へ相談しに行ってみることにした。 | |||
東京都内には18箇所に労働基準監督署が設置されており、自分の会社がある地域を管轄している署に相談しに行くのがてっとり早いらしい (→都内の監督署所在地)。 そこで渋谷労働基準監督署へ向かった。 庁舎のビルにはハローワークもあり、僕が行ったときにはほとんどの人がハローワーク目当てのようだった。 5階が労働基準監督署だ。 銀行などで待つ時と同じ要領で順番カードを機械から取り出し、座って待っているとすぐに僕の番号が呼び出された。
なんだかすごい(面倒な)事になってきたような気がする。 まあ、ここまで来たら乗りかかった船だ。やってやるぜ!! お礼を言って僕は監督署を後にした。 ちなみに申告の際に必要な物は、通帳(賞与が支払われていないことを確認する為)/請求書のコピー/賞与について会社から受け取っている書類/ 給与規則/2〜3ヶ月分の給与明細(これは無くてもよい)だそうだ。 | |||
さっそく請求書を作ることにした。 内容証明郵便で送れと言われたのだけれど、そもそも内容証明ってなんだろうか? Google検索で調べてみると大量にヒットした。以下のようなものらしい。
文字数の制限があるので作成前にWordの書式設定を変更してから作業開始。
とにかくこいつを送りつけて会社からのアクションを待とう。 | |||
僕の住んでる地域で内容証明を扱っている郵便局は、幸いそう遠くないところにあった。 練馬区の光が丘郵便局だ。 配達証明もつけたので、費用は全部で1220円かかった。 ま、これでボーナスが手に入るなら安いものだ。 とりあえず、これでやれることはやったってところだろうか。 請求書は明日には届くだろうから、7日後に残高を確認してみるか。 そして7日後。 ATMで通帳記入をし、残高をチェックしてみた。 金額は最後に確認したときから1円の増減も無かった。 ・・・いい度胸してるじゃねーか。 こうなりゃこっちも徹底的に戦うしかねぇ!!と決意して帰宅後、会社から1通の封書が届いていた。 まさか現金をそのまま送りつけてきたんじゃないだろうなと思いつつ封を切ると紙切れが一枚。
とはいえ、このままでは当然納得いかないので会社に連絡。 今までろくに話した事も無い部署の上司と会うことになってしまった。 | |||
無職の身分で会社へ。 そこで待っていたのは、会社の管理部門のお偉いさんが2人だった。 顔は見た事あるが、話をするのはこれが初めてだった。 どんな会話になるかわからないので、俺はあらかじめスーツの内ポケットにテレコを仕込んでおいた。 一部始終を録音しておけば、後で何かの役に立つかもしれないし。 「いやあ、お忙しいところわざわざお越し頂いてすいませんねえ。」 随分と腰の低い対応だ。通されたのは入社以来一度も入った事のないグレードの高い応接室だった。 こないだ部長と話したときはパイプ椅子しかない会議室だったのに。 ここでの会話は非常にとるに足らないものだった。 転職活動は順調に進んでいるかとか、そういった雑談に近いことが前フリとして続いた。 俺はこんなことを話すために炎天下の中わざわざ出向いてきたんじゃない。 ビジネスの話をしにきたのだ(ちょっと違うが)。 で、ようやく本題に入ったのだが、要は俺が請求した額は全部出す事はできないというもの。 そりゃこっちも多少はふっかけたので、全部もらえるとは思ってなかったが。 具体的な数字は控えるが、向こうが提示してきた額は俺が請求した額の4割程度だった。 それはさすがに少ねーだろ!!と応接室の立派な机に拳を叩きつけようかとも思ったが、この会社の 体質を考えるとこの程度が限界であろうとも思い、踏みとどまった。 「考えさせてください」と言葉を残し、その場はお開きになった。 このまま労働基準監督署に申告して延長戦に突入しても良かったのだが、この件は早く決着をつけなければならなかった。 なぜならこのままだと俺の源泉徴収票がいつまでも発行されず、それはつまり離職票も手に入らないということに繋がってしまう為だ(雇用保険を受給する為に必要なのでス)。 | |||
数日後、会社に電話して先日の金額で合意する旨を伝えた。 それから1週間後くらいにようやく俺の最後の賃金が支給され、事態は終結を見た。 待たされた時間やお互いにかけた手間を考えると、会社としては少ない額でもいいから最初から支給日に振り込んでおけば良かったハズである。 世の中にはいろんな会社があって、それぞれに異なる思想・方針を持っているのだから時には今回の僕のようなケースもあるのだろうけれど。 おかげでいろいろと勉強になったし、今後の就職先でも今回の体験が役に立つ時がくるかもしれない(役に立つようでは困るのだが)。 ちなみに労働基準監督に相談に行った時に聞いたのだが、うちの会社の規模(社員200人くらい)でこういうケース(賞与の不払)が発生する事は珍しいらしい。 いずれにせよ、僕の今回の行動によって会社から同じような退職者が出ないようになれば幸いであると考える。 みなさんも泣き寝入りすることはありません。まずは行動を起こしてみましょう。 おしまい♪ |